物忘れについて
物忘れは加齢に伴って増えていきます。こうした現象は誰にでもみられるのですが、大切な約束を忘れてしまったり、通い慣れている道がわからなくなったり、同じことを何度も尋ねたりするようになり、対人関係や日常生活に影響が出ることもあります。当院では、物忘れが増えたという方を対象にした様々な検査(血液検査、MRI、RIなどの画像検査)を行うことで、認知症の原因を調べます。お気軽にご相談ください。
このような方はご相談ください
- その日の食事メニューを思い出せない
- その日に外出したのかどうか記憶にない
- 大切なものを頻繁に失くすようになった
- 何度も同じことを聞いてしまう
- 慣れている場所なのに、道に迷うことがある
- 薬の管理ができなくなった
- 以前は好きだったことへの興味が薄れた
- 自宅に戻れなくなることがある
- 財布を盗まれたと言って騒ぐことがある
良性健忘
良性健忘は、加齢によって起こる年相応の記憶障害です。認知症とは異なり、大切なことは忘れてはいません。例えば、「朝食に何を食べたかは覚えていないが、食事をしたこと自体は忘れていない」といったようなことです。このような場合は、良性健忘ですので心配する必要はありません。
軽度認知障害
軽度認知障害は、認知機能の一部に障害が起こっているものです。具体的には、記憶、思考、理解、計算、学習、言語、判断といった問題が部分的に起こっているけれど、日常生活に大きな支障が生じていない状態です。言い換えますと、健常者と認知症の方の中間的な状態だと考えられます。放置していると、認知機能の低下は進み、徐々に認知症を発症することが多いといわれています。治療としては、認知機能の低下が進むのを緩徐にするお薬の処方などを行います。
認知症
認知症になると、脳の病気や障害によって正常に働いていた脳の機能が低下してしまい、記憶や思考への影響がみられるようになります。物事を記憶する能力、判断する能力、時間や場所・人を認識する能力が下がってしまうので、日常生活に支障をきたすようになります。なお、認知症には様々なタイプがありますが、よく知られているものとして、アルツハイマー型認知症、脳血管型認知症、レビー小体型認知症などがあります。
このうちアルツハイマー型認知症は、特殊なたんぱく質が脳に蓄積し、神経細胞が壊れてしまうことで、脳の神経が情報をうまく伝えられなくなり、機能異常を起こすようになります。認知症患者さんの中でもアルツハイマー型は一番多いタイプで、男性よりも女性の割合が高いです。脳血管型認知症は、脳卒中によって脳の血管が詰まったり出血したりすることによって引き起こされます。このような状態になると、脳細胞に酸素が十分にいき届かなくなり、神経細胞が死んでしまうので、認知症の症状が出現するのです。また、レビー小体型認知症は、レビー小体が脳の大脳皮質や脳幹にたくさんできてしまうタイプの認知症です。レビー小体が多く集まっている場所では情報をうまく伝えられなくなり、幻視やパーキンソン症状、レム睡眠行動障害などが起こります。
認知症の進行予防のため、またご家族の負担を軽減するために、介護サービスの利用を勧めています。自宅で受けられる家事援助等のサービス、施設などに出かけて日帰りで行うサービス、施設などで生活(宿泊)しながら、長期間又は短期間受けられるサービスなどがあります。お困りの方は、お気軽にご相談ください。