パーキンソン病とは
パーキンソン病になると、自分の意思ではないのに勝手に手足がふるえてしまう、歩く際に前傾姿勢となる、歩幅が狭くなる、手の振りがなくなる、顔の表情が硬くなる、などの症状が現れます。主な原因は、脳の黒質の変性だといわれています。これによって神経伝達物質の一種であるドパミンの量が低下していき、黒質からの情報伝達経路がうまく働かなくなります。パーキンソン病の病状は数年かけて徐々に進行していきます。60歳を過ぎた頃に症状が現れ始めやすいとされ、男女比ではやや男性が多いといわれています。
運動症状と非運動症状
パーキンソン病に伴う運動症状は、静止時振戦、無動、姿勢障害、筋強剛・固縮などがあります。このうち静止時振戦は、安静時に手足のふるえがみられることです。そのふるえは1秒間に5回程度と規則的に起きます。無動は、体の動きの全てが鈍くなっている状態です。歩行時に足が出にくい、瞬きの回数が減る、書く文字が小さいなどの症状がみられます。姿勢障害は、体のバランスを保つことが難しく、転倒しやすい状態になることです。そのため、歩く際は前かがみとなって短い歩幅ですり足という体勢になりがちです。筋強剛・固縮は、筋肉が硬くなってスムーズに手足などが動かせない状態です。このほか、非運動症状として、便秘、頻尿、立ちくらみ、発汗、睡眠障害、嗅覚障害、脱力、疲労感、認知障害なども起こります。
パーキンソン病の治療
パーキンソン病が疑われる患者さんに対して、運動症状の有無を確認したり、別の病気との鑑別や併発の有無を調べたりするため、血液検査、CT、MRI検査などを行います。その結果、パーキンソン病と診断されたときは、治療を行うのですが、現時点では根治させる治療法というのがありません。そのため、症状の軽減あるいは改善が治療の目的となります。具体的には、L-ドパ、ドパミン受容体作動薬、抗コリン薬、ドパミン放出促進薬、ドパミン分解抑制薬などを用いた薬物療法となります。患者さんにみられている症状などを勘案し、使用するお薬の組み合わせなどを決めていきます。また、薬物療法に加えてリハビリテーションも行います。具体的には体を動かすなどして筋力や体幹を鍛え、できるだけ日常生活に支障をきたさないようにします。このほか、作業療法や言語療法が行われるケースもあります。